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Tax-Free Shop(市街地免税店)必見!リファンド方式で変わる免税手続きと業務効率化ガイド

訪日観光客向けの免税制度は、2026年11月1日から「リファンド方式」に大きく移行します。
Tax-Free Shop(市街地免税店)はこの制度の対象となるため、これまでの免税販売の手続きや運用ルールが変わります。運営者は業務効率化や多言語対応など、顧客サービスの見直しも求められる場面が増えます。
本記事では、Tax-Free Shopが知っておきたい新免税制度の概要と具体的な変更点、顧客対応のポイントなどをわかりやすく解説します。
Tax-Free Shopとは

Tax-Free Shopとは、主に訪日観光客を対象に消費税のみを免除し、購入時に商品をその場で受け取れる店舗です。
各店舗は税務署長の許可を受けた「輸出物品販売場」として運営され、購入にはパスポートなどで非居住者であることの確認を行う必要があります。
また、一般物品・消耗品など通常生活で使う商品が主に免税の対象で、1日の購入金額や梱包に決まりがあり、誓約書提出など所定の手続きも必要です。
都市のデパートや家電量販店、アウトレットなど幅広く展開され、「Tax-Free Shop」がシンボルマークとなっています。
Duty-Free Shop(空港免税店)との違い
Duty-Free Shopp(空港免税店)は、国際空港の出国手続き後の制限区域内に設置され、出国する旅行者に対して消費税や関税、酒税、たばこ税など多くの税金が免除される商品を販売する専門店です。
Duty-Free Shopについては以下記事にて詳しく解説しています。
関連記事:空港免税店(Duty Free Shop)とは?Tax Free Shopとの違いや新制度との関係
新免税制度(リファンド方式)とは

新免税制度(リファンド方式)とは、2026年11月1日から施行される免税制度です。

出典元:国税庁「リファンド方式の概要」
購入時には税込価格で支払い、その後、出国時に税関で商品持ち出しが確認された場合に税金が還付される仕組みです。従来の購入時即時免税方式から還付タイミングが変更され、不正利用防止や制度の透明性向上が期待されています。
詳細や運用ルールについては、以下の関連記事をご覧ください。
関連記事:【令和8年11月】新免税制度(リファンド方式)とは?変更点やシステム対応の注意点を解説
リファンド方式によるTax-Free Shopへの影響

リファンド方式の施行によって、店舗には販売手続きの変更やリファンド事業者との連携、顧客対応などが求められます。
新制度が店舗運営に与える影響について詳しく解説します。
販売手続きの変更
リファンド方式の施行によって以下が変更となります。
| 項目 | 旧制度 | 新制度 |
| パスポート | 購入時にパスポートの確認が必要 | パスポートに加え、マイナンバーカードなどの本人確認書類も認められる(マイナンバーの提示は、日本国籍を有する免税購入対象者のみ) |
| 販売記録の管理 | 書面による購入記録の保存、免税書類の即時処理が必要 | 電子的に販売データを国税庁に送信し、原則7年間の保存義務あり |
| 商品区分 | ・一般物品:1日あたり5,000円以上の購入が対象 ・消耗品:1日あたり5,000円以上かつ50万円以下の購入が対象 |
区分の義務が廃止、購入上限も撤廃 |
| 包装 | 購入物品を所定の包装で封印する必要あり | 包装義務が廃止 |
リファンド方式の導入により、免税手続きは大幅に簡素化されると同時に、販売データの正確な管理と保存がより重要となります。
これにより店舗の業務負担が軽減される一方で、新たなシステム対応やスタッフ教育が不可欠となり、円滑な制度運用には万全の準備が求められます。
リファンド事業者との連携
リファンド方式では、販売時の情報を免税処理システムにリアルタイムに連携する必要があります。
具体的には、店舗側で購入記録情報を整理し、免税販売管理システムに即時送信して、税関やリファンド事業者とオンラインでデータを連携しながら還付処理を行います。
購入時に税込で決済し、出国時の税関確認後に税金が還付される流れです。この連携はAPIやクラウドシステムで行われ、販売データの正確さが求められます。
提供漏れを防ぐためにも、以下のようなチェック体制が不可欠です。
POSと免税管理システム間のデータが一致しているか検証
観光客のパスポート情報と販売データの紐づけを確認
社内での運用マニュアルの整備とスタッフ教育により人的ミスを防止
システム連携状態のモニタリングとエラー通知の仕組みを整備する
販売データを正確に管理・連携し、複数のレベルでチェック体制を整えることが、リファンド方式の円滑な運用のカギとなります。
顧客対応の必要性
リファンド方式の施行に向けて、顧客に新制度の説明が必要となります。
【購入者への新制度説明のポイント】
購入時は税込価格で支払うこと
出国時に税関での持ち出し確認を経た後に、税金が還付されること
還付方法が現金のほか、クレジットカードやQRコード決済など複数あること
税関による持ち出し確認が免税成立の条件であること
顧客にはリファンド方式の手続きの流れや条件を正確に理解してもらう必要があり、多様な言語への対応が必要です。言語対応が不十分だと、誤解やトラブルが増え、不安を感じる顧客が増える可能性があります。
スタッフは制度のポイントを正確に理解し、質問に的確に答えられるように教育を行う必要があります。
リファンド方式における実務効率化のポイント

リファンド方式の導入により、販売管理の複雑化が予想されるため、キャッシュレス決済やデータの自動連携が重要です。
これにより、手作業を減らしてデータの正確性を確保し、店舗運営の効率化と顧客サービスの向上につながります。
ここでは、実務効率化のポイントを解説します。
POSデータの自動連携
リファンド方式で不可欠なのは、多様なキャッシュレス決済手段の一元管理と、POSシステムから免税販売管理システムへのリアルタイムデータ連携です。
これにより販売情報の即時送信や帳票処理が自動化され、スタッフの業務負担やヒューマンエラーを削減します。
また、顧客の決済利便性向上と還付手続きのスムーズ化を実現し、店舗全体の運営効率が向上します。
販売履歴や在庫管理の効率化
販売履歴・在庫管理を効率化するには、販売管理システムとPOSのリアルタイム連携が重要です。
これにより、販売データと税関の出国確認情報を自動で照合し、免税対象の判別ミスを防止します。さらに、販売履歴や在庫の状態を正確に把握できるため、棚卸しや会計処理の効率が向上します。
また、売れ筋分析や発注計画にも活用でき、過剰在庫や欠品のリスクを抑えられます。
スタッフの業務分担
リファンド方式の導入に伴い、スタッフの業務分担は店舗運営効率化の重要なポイントです。
スタッフは顧客対応や制度説明、多言語対応に注力できる体制が求められます。特に新制度の仕組みや還付手続きに関する正確な知識の習得が不可欠で、トラブル対応や問い合わせに対応する専門スタッフの配置も効果的です。
明確な役割分担と連携体制により、サービスの質向上と業務負担軽減が実現でき、店舗全体の生産性向上につながります。
リファンド方式による注意点

リファンド方式の運用では、データ提供漏れや書類不備、繁忙期の対応不足、法令順守の不備などによるリスクがあります。
ここでは、リファンド方式の運用における注意点を解説します。
データ提供漏れや書類不備
リファンド方式では、還付の根拠となる取引データや書類が揃わなければ、還付自体が受けられないリスクがあります。
特に販売履歴や領収書の記載漏れ、提出期限の遅延はよく起こるトラブルです。
販売事業者は、顧客の旅券提示確認や購入記録情報の保存、税関による持ち出し確認情報の保存が求められます。
繁忙期の対応
繁忙期は還付申請や処理が集中し、業務遅延や対応不足が起こりやすくなります。
これを防ぐためには、業務フローの標準化とシステム自動化で処理効率を上げることが重要です。また、担当者の教育やマニュアル整備によってミスを減らし、人員増強などの対策も必要です。
処理遅延が発生した場合には、速やかに状況を関係者へ共有し、信頼低下を防ぐことが求められます。
法令順守のポイント
リファンド方式において、事業者は制度変更に伴う運用ルールの厳格な順守が求められます。
以下は新制度における法令順守のポイントです。
免税対象物品を課税価格(税込)で販売すること
購入者が購入日から90日以内に税関で持ち出し確認を受けること
税関確認情報を含む購入記録情報を正確に保存すること(原則7年間)
税関確認情報がない場合は課税売上に振り替えること
還付先情報を取得し、消費税相当額を正しく返金すること
免税店許可要件に基づき、必要な情報提供義務を遵守すること
出典元:国税庁「リファンド方式の概要」
これらの法令順守ポイントを確実に遵守することが、事業者にとって新制度の円滑な運用と不正防止、さらには信頼される免税販売体制の構築につながります。
リファンド方式導入後の業務改善策

リファンド方式の導入後、事業者は業務効率の向上と販売戦略の最適化により売上拡大を目指せます。
具体的には、新方式を活用した業務効率化やデータ分析による販売戦略の改善が重要です。
ここでは、リファンド方式導入後の業務改善・売上向上策について紹介します。
リファンド方式を活用した業務効率化
リファンド方式の導入により、免税手続きが自動化され、システム連携によって業務効率が大幅に向上します。
具体的には、POSシステムと免税販売管理システムの連携によって、購入記録情報がリアルタイムで自動保存され、手作業での記帳やデータ入力の負担が軽減されます。また、多言語対応のレシート発行やQRコードによる還付案内で顧客対応もスムーズになります。
このように、リファンド方式導入によるシステム化により、業務の合理化と顧客サービスの向上を両立することが可能です。
キャッシュレス決済の導入による業務効率化
キャッシュレス決済の導入は、免税手続きの効率化だけでなく、顧客満足度の向上にも直結します。
具体的なメリットは以下のとおりです。
| メリット | 概要 |
| 業務効率化 | 現金管理や集計作業が減り、事務作業の負担軽減やミス防止につながる。 |
| 支払いスピードの向上 | レジ待ち時間を短縮し、顧客満足度を高めることで購買機会の増加につながる。 |
| 顧客ニーズへの対応 | 多様な決済手段を提供し、幅広い顧客層の利便性を高める。 |
| マーケティング活用 | 決済データを蓄積し、顧客分析やターゲティング精度を高め、販促効果の向上につなげる。 |
| 不正防止・リスク軽減 | 現金取り扱いに伴う盗難や紛失リスクを減らし、支払いの透明性を高める。 |
多彩な支払い方法への対応は、幅広い顧客ニーズに応えることができ、結果的に業務負担の軽減と売上増加につながります。
データ分析と活用
販売データの分析は事業者にとって売上向上に直結する重要な要素です。
リファンド方式導入により、購入履歴や顧客属性などの詳細なデータが蓄積され、これを活用して顧客の購買傾向や人気商品、訪問頻度が把握できます。
このデータをもとに、効果的な在庫管理やターゲットを絞ったプロモーション展開を行うことで、無駄な在庫の削減や顧客満足度の向上が図れます。
さらに、タイムリーなマーケティング施策を展開することで、リピート率の向上や新規顧客の獲得につながり、持続的な売上拡大が可能になります。
キャッシュレス決済データやPOSデータの活用については、こちらの記事で紹介しています。
関連記事:POS連携で広がるキャッシュレス決済の可能性|現場で使えるデータ活用入門
まとめ
2026年11月から施行される新制度「リファンド方式」により、Tax-Free Shopは税込価格で販売し、出国時に税関が持ち出し確認を行った後に税金を還付する仕組みへと大きく変わります。
免税品の区分廃止や特殊包装の廃止など、事務負担の軽減が期待されていますが、購入記録の正確な管理と税関確認情報の保存が重要となります。
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※本記事は執筆時点の情報に基づいています。最新の制度改正や詳細については、必ず公式情報をご確認ください。
