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なぜ人はライブ配信で商品を買うのか?| ライブコマースが拡大する理由

ライブコマース解説

なぜ人はライブ配信で商品を買うのか?
ライブコマースが拡大する理由と企業が注目する背景

ライブコマースの拡大により、SNS・EC・決済を連携した購買体験設計が重要になっています。発見型購買が広がる中で変化するSNS時代の購買行動と、企業がライブ配信に注目する理由を解説します。

ライブコマース市場が拡大している背景

近年、ライブ配信を活用した販売手法である「ライブコマース」が注目を集めています。ライブコマースとは、ライブ配信を通じて商品を紹介し、視聴者がその場で購入できる仕組みです。中国市場ではすでに巨大な市場へと成長していますが、日本国内でもTikTok Shopの展開やInstagram、YouTube Liveの活用拡大により、市場が徐々に拡大しています。

ライブコマース市場が広がる背景には、大きく2つの価値があります。

1つ目は「高いエンターテインメント性」です。配信者と視聴者がリアルタイムで交流できるライブ配信は、単なる商品紹介ではなく、視聴者参加型のコンテンツとして楽しまれています。コメントを通じたコミュニケーションや配信者との距離の近さが、従来のECにはない魅力を生み出しています。

2つ目は「購買体験そのものの価値」です。サイズ感や使用感、実際の活用シーンなど、ECサイトだけでは分かりにくい情報をリアルタイムで確認できるため、購入前の不安を解消しやすくなります。日本市場はまだ成長段階ですが、各SNSプラットフォームのEC機能強化や企業の導入事例増加により、成果が少しずつ見え始めています。

注目事例:TikTok Shopに見るライブコマースの急成長

ライブコマースの需要拡大を象徴するプラットフォームが、TikTok Shopです。ショート動画とECを融合させたこのサービスは、「見ていたら欲しくなった」という発見型購買を最も体現した仕組みとして、世界中で急速に普及しています。

2025年6月に日本へ正式上陸したTikTok Shopは、わずか5ヶ月で月間GMV(流通取引総額)が60億円規模に達するなど、驚異的なスピードで成長しています。

332億ドル
TikTok Shop 世界GMV(2024年)前年比2倍
60億円
日本月間GMV(2025年12月)上陸5ヶ月
100万人
世界のライブコマースクリエイター数(2024年)
グラフ 1
TikTok Shop 日本市場 月間GMV推移(2025年7〜12月・億円)
月間GMV(億円)
TikTok Shop日本市場月間GMV推移
出典:Kalodata Japan「TikTok Shop日本市場 推計GMVレポート」(2025年12月公表)
https://www.commercepick.com/archives/83642

日本上陸からわずか5ヶ月で月間GMVが15倍以上に急拡大。2025年12月のライブコマース数は前月比100%増を記録。ライブ配信経由の購買がその成長をけん引しています。

世界市場でも「ライブ配信×EC」が主流に

グローバルでは、TikTok ShopのGMVが2021年の9億ドルから2024年には332億ドルへとわずか3年で37倍以上に拡大しました。東南アジアが全体の約68%を占めており、「ライブ配信で商品を知り、その場で購入する」行動様式がすでに生活に根付いています。

グラフ 2
TikTok Shop 世界GMV推移(2021〜2024年・億ドル)
世界GMV(億ドル)
TikTok Shop世界GMV推移
出典:Tabcut調査 / 36Kr Japan「TikTok Shop、24年GMVは5兆円超で過去最高」
参照:https://www.commercepick.com/archives/83642

TikTok Shopのわずか数年での急成長は、「ライブ配信で商品を知り、その場で買う」という行動が、すでに世界規模で定着しつつあることを示しています。では、こうした変化はなぜ起きているのでしょうか。その背景には、私たちの日常におけるSNSとの関わり方そのものの変化があります。

SNS利用時間の増加がライブ配信文化を後押し

ライブコマースがこれほど急速に広がっている背景には、私たちがSNSや動画コンテンツに費やす時間が、ここ数年で劇的に増加しているという事実があります。スマートフォンの普及により、SNSは「たまに見るもの」から「毎日の生活に溶け込んだもの」へと変わりました。TikTok・Instagram・YouTube Live・TikTok LIVEなどの動画・ライブ配信コンテンツは、今や多くのユーザーの日課となっています。

従来のテキスト中心の情報収集から動画による情報収集へとシフトする中で、「ライブ配信を見る」という行動そのものが自然なものになっています。令和5年度の総務省調査では、全年代で「動画投稿・共有サービス」の利用時間が最も長い項目となっており、ライブコマースを含む動画コンテンツへの接触機会は着実に拡大しています。

グラフ 3
インターネット平均利用時間の推移(平日・分)
インターネット平均利用時間(平日・全年代)
インターネット平均利用時間の推移(平日・分)
出典:総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(2024年6月公表)
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000122.html

令和5年度調査(2024年6月公表)では、全年代の平日インターネット平均利用時間は173.6分となり、「テレビ(リアルタイム)視聴」(163.2分)を引き続き上回っています。特に動画投稿・共有サービスの視聴が全年代で最も長い利用項目となっており、若年層(10〜20代)では平日・休日ともに100分を超えています。

「検索」から「発見」へ変化する購買行動

消費者の購買行動は大きく変化しています。TikTokで流れてきた動画やInstagramのリール、ライブ配信で紹介された商品を見て購入するケースは珍しくありません。このような購買行動は「発見型購買」と呼ばれています。

従来の購買行動
1欲しい商品を検索する
2比較・検討する
3購入する
SNS時代の購買行動(発見型)
1SNSで偶然見つける
2興味を持つ
3購入する

企業にとっては、検索結果で競争するだけでなく、SNS上でユーザーとの接点を作ることが重要になっています。「検索される施策」だけでなく、「発見される施策」が求められる時代へとシフトしています。

なぜライブ配信は購入したくなるのか

SNSで商品を「発見」した消費者が、実際に購入まで至るのはなぜでしょうか。ライブコマースには、従来のECサイトにはない「その場で買いたくなる」仕掛けが備わっています。

01
リアルタイムだから生まれる没入感

「今、この瞬間を共有している」という特別感が、商品への興味や購買意欲を高めます。録画動画にはないライブならではの臨場感が生まれます。

02
質問できる安心感とイメージ相違の少なさ

コメントでその場で疑問を解消できます。実際の使用シーンやサイズ感を動画で確認できるため、購入後のイメージ違いも起こりにくくなります。

03
限定販売の「今だけ感」

ライブ限定価格や数量限定販売は「今買わなければ」という心理を生み出します。ライブならではの限定性が購買を後押しします。

04
KOL・インフルエンサーへの信頼感

普段から見ている配信者の紹介は、企業広告よりも親近感があります。リアルなレビューや体験談が購入の後押しにつながっています。

こうした「買いたくなる」体験は、感覚的なものだけでなく、学術的にも裏付けられています。

慶應義塾大学大学院の研究(呉・坂下、2023年)によると、ライブコマースで購買意欲が高まる背景には「フロー体験(没入状態)」が深く関わっています。操作画面のスムーズな使いやすさと双方向性が直接的に衝動購買を促す一方、ライバーとのリアルタイムなやりとりはフロー状態を介して間接的に購買意欲を高めることが実証されています。

つまりライブコマースは、画面設計とライバーの演出が組み合わさることで、視聴者を自然と購買へ誘導する仕組みを持っているのです。これは従来のECサイトでは再現できない、ライブコマース特有の購買体験といえます。
出典:呉玉・坂下玄哲「ライブコマースにおける衝動購買誘発要因に関する探索的研究―フロー体験を手がかりに―」慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士学位論文(2023年度)
URL:https://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=KO40003001-00002023-4095

商品発見から購入までSNS内で完結する時代へ

かつての購買行動は、「SNSで商品を知る→検索する→ECサイトへ移動→カートに入れる→決済する」という複数のステップを経るものでした。しかし今、その流れは大きく変わっています。

SNSのプラットフォーム自体がEC機能を内包し始めたことで、商品の発見から決済まで、アプリを離れることなく完結できる環境が整ってきました。

プラットフォームごとに進む「購買の一体化」

  • TikTok Shop:動画やライブ配信を見ながら、そのまま商品を購入・決済できる。2025年6月に日本上陸し、月間GMVはわずか5ヶ月で60億円規模に急成長
  • Instagram:投稿・リール・ライブにショッピングタグを設定でき、プロフィールから直接ECへ誘導可能
  • YouTube Live:ライブ配信中に商品リンクを表示し、視聴者がその場で購入できる機能を拡充中

「離脱」をなくすことが購買率を高める

従来のEC導線では、SNSから外部サイトへの移動が発生するたびに一定数のユーザーが離脱していました。購買意欲が高まっているその瞬間に、余計なステップが入ることで「まあいいか」となってしまうのです。

SNS内で購買が完結する仕組みはこの離脱を防ぎ、「欲しい」と思った瞬間をそのまま購入につなげることができます。これはライブコマースとの相性が特に高く、視聴しながら購入ボタンを押せる体験は、衝動購買の誘発と即時決済を同時に実現します。

消費者にとっての価値、企業にとっての価値

消費者側からみると、わざわざアプリを切り替えたり、URLを検索し直したりする手間がなくなり、ストレスフリーな買い物体験が実現します。

企業側からみると、接触から購入までの導線が短くなることで、広告費をかけて集めたユーザーを取りこぼしにくくなります。SNS・EC・決済が一体化した設計は、今後のマーケティング戦略において欠かせない視点となっています。

こうした変化は、消費者の購買行動だけでなく、企業が販売チャネルをどう設計するかにも大きな影響を与えています。次のセクションでは、ライブコマースが企業にもたらす具体的なメリットを見ていきます。

なぜ企業はライブコマースに注目しているのか

消費者の購買行動が「発見型」へとシフトし、SNS内で購買が完結する時代になったとき、企業が次に考えるべきことは何でしょうか。それは、この流れにどう乗るかです。

ライブコマースは、消費者にとって魅力的な購買体験であると同時に、企業にとっても従来のECや広告では実現しにくかったメリットを持つ販売手法です。

MERIT 01
実店舗を持たずに販売できる

オンラインで販売活動を完結できるため、店舗運営コストを抑えながら販路を拡大できます。スモールブランドやD2C企業にとっても参入しやすい手法です。

MERIT 02
全国・海外ユーザーへアプローチしやすい

ライブ配信は場所を問わず視聴できるため、地方在住者や海外ユーザーへも同時にアプローチできます。越境ECとの親和性も高く、インバウンド需要の取り込みにも有効です。

MERIT 03
オンラインでも"接客"ができる

リアルタイムで商品説明・質問対応ができるため、ECサイト最大の弱点である「接客の欠如」を補えます。視聴者の疑問をその場で解消することで、購入への心理的ハードルを下げられます。

MERIT 04
一度きりで終わらない顧客関係をつくれる

ライブ配信を継続することで、視聴者との関係性が積み重なっていきます。単発の購入にとどまらず、SNSフォロー・リピート購入・コミュニティ参加へとつながる、長期的な顧客育成が可能です。

企業にとってライブコマースは、単なる「新しい販売チャネル」ではありません。集客・接客・購買・リピートをひとつの場で完結させられる、顧客接点の新しい形です。だからこそ、今多くの企業がライブコマースに注目しているのです。

今後は"体験"を提供するEC・SNS運用が重要に

ここまで見てきたとおり、ライブコマースの拡大は一時的なブームではありません。消費者の購買行動そのものが変わったことへの、必然的な対応です。

この変化を整理すると、3つのシフトが起きています。

🔍
「検索」より「発見」が購買を生む時代へ

TikTokで偶然商品を知り、Instagramで使用シーンを見て、ライブ配信で実演を見ながら購入を決める——こうした購買行動は、従来の検索型ECでは生まれにくかったものです。今後は「検索される施策」だけでなく、「発見される施策」が求められます。

「モノ」より「体験」に価値を感じる消費者

消費者が求めているのは商品の機能や価格だけではありません。ライブコマースでは商品の利用シーン・配信者のリアルな感想・視聴者とのコミュニケーションを通じて、体験も提供できます。消費者は「モノを買う」のではなく「体験に共感して購入する」ようになっています。

🔗
SNS・EC・決済をつなぐ設計が重要に

SNSで商品を知り、ライブ配信で興味を持ち、ECで購入し、決済を行い、その後もSNSでつながり続ける——この一連の体験をシームレスにつなぐことが、これからの企業に求められています。SNS運用・EC構築・決済環境・リピート施策を個別に考えるのではなく、購買体験全体を設計する視点が必要です。

こうした購買体験の設計は、SNS運用・EC構築・決済環境・ライブ配信制作・リピート施策と、複数の領域にまたがります。インタセクト・コミュニケーションズでは、こうした一連の取り組みもサポートしています。

インタセクト・コミュニケーションズのサービス

ライブコマースやSNS活用においても、「集客」「購買」「決済」「リピート導線」までを一体で設計することで、企業の販売チャネル拡大や顧客接点強化をサポートしています。

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