東京都千代田区神田小川町三丁目1番地 B・Mビル
【2025年最新版】免税システム導入ガイド!メリットや導入手順と最新動向を解説

免税システムは、免税店が訪日観光客向けに免税販売手続きを効率的に行うために必要なシステムです。
2026年(令和8年)の制度改正により、免税手続きがリファンド方式へと大きく変わるため、スムーズな導入と運用が求められています。
しかし、「どの免税システムを導入すべきかわからない」「免税システム導入の手順がわからない」と悩んでいる方も多いでしょう。
本記事では、システムの種類や機能、店舗規模ごとの導入事例、選び方から導入の流れまで、最新の動向に沿ってわかりやすく解説します。
免税システムとは?

免税システムとは、訪日観光客などの非居住者を対象に、免税店が消費税免除の販売手続きを効率的に行うためのシステムです。
免税システムを導入することで、以下のことが可能となります。
端末による旅券情報の読み取り
購入記録情報の生成
購入記録情報の国税庁への送信
中には独自機能を提供している免税システムのサービス提供事業者もあります。
なお、2021年10月から国税庁への免税購入品情報の電子送信が義務化されています。そのため、免税販売手続きの電子化に対応していないと、免税販売を行うことはできません。
出典元:国税庁「免税販売手続の電子化への対応はお済みですか」
さらに、2026年11月からは「リファンド方式」が導入され、購入時に消費税を一旦支払い、出国時の持ち出し確認を経て後日返金する方式に変更されます。
免税システムはこうした制度に対応するために不可欠な設備であり、店舗の効率的な運営と訪日観光客の利便性向上に寄与します。
免税システム導入のメリット

免税システムの導入は、店舗側と顧客側の双方に大きなメリットがあります。
ここでは免税システム導入のメリットを解説します。
店舗側のメリット
免税システム導入の店舗側のメリットは以下の通りです。
免税手続きの時間短縮と作業負担軽減
ミスや漏れの防止による手続き精度の向上
接客に専念できるためサービス品質アップ
購買データの一元管理による経営効率の向上
国税庁への報告自動化による税務リスク軽減
免税手続きが電子化されることで、作業時間が大幅に短縮され、スタッフの負担が軽減します。また、手書きによる記載ミスや情報漏れが減少し、免税販売の正確性が向上します。
さらに、購買データが自動的に集約されるため在庫管理や販売分析が容易となり、効率的な店舗経営が可能です。
国税庁への報告も自動化され、税務処理のリスク軽減やコンプライアンスの強化にも役立ちます。
顧客側のメリット
免税システム導入の顧客側のメリットは以下の通りです。
免税手続き時間の短縮と待ち時間軽減
書類管理の簡素化で手続きミス防止
多言語対応による利用者の利便性向上
免税システム導入により、従来必要だった紙の購入記録票の管理やパスポートへの情報転記が不要となり、手続きの所要時間が大幅に短縮されます。これにより、店舗での待ち時間が減り、スムーズに購入できることで、顧客満足度や店舗の回転率向上にもつながります。
また、多言語対応システムによって、言語の壁を感じることなく、安心して買い物できることもメリットです。
免税システムの種類と機能

免税システムは、以下の流れで運用されます。
旅券情報を端末で読み取り
購入品目情報と連携して購入記録を自動生成
生成データを国税庁に電子送信
送信結果を確認して購入記録を7年間保存
免税システムには、以下の4種類があります。
| システム種類 | 機能 | 特徴 | おすすめ店舗規模 |
| POS連動型 | POSシステム機能と免税処理を一体化。 | 会計と免税手続きが連動し業務効率が高い。 | 大規模店舗、多店舗展開向け |
| スタンドアロン型 | POSとは別に免税専用端末・ソフトを導入。 | 初期費用や導入負担が比較的軽い。 | 中規模店舗 |
| クラウド型 | インターネット接続で免税処理、データ管理を行うオンライン型。 | 遠隔運用や柔軟な拡張が可能。 | 小~大規模店舗、初めて免税店にも最適 |
| 手続き支援サービス型 | 免税販売の申請やデータ送信を外部代行業者に委託。 | 専門知識不要、免税業務の負担を大幅軽減。 | 小規模~人員不足の店舗 |
中には、クラウド型とPOS連動型の複合型システムもあります。
免税システムによる国税庁への送信方式
免税システムによる国税庁への送信方式は主に2種類あります。
自社送信方式
免税店自身がシステムを開発・導入し、購入記録情報をインターネット経由で直接国税庁が管理する免税販売管理システムへ送信する方式
他社送信方式
税務署長の承認を受けた承認送信事業者にデータ送信を委託し、その事業者を通じて国税庁が管理する免税販売管理システムへ送信する方式
どちらの方式でも、免税店は「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」を所轄税務署長に提出し、その後に付与される識別符号を購入記録情報に含めて送信します。送信後は国税庁側から返される受信結果通知により、データが正常に受け付けられたか、エラーが発生したかを確認できます。
免税システムの選び方

免税システムを導入する際には、購入記録情報を国税庁へ電子送信する仕組みが必要です。
自社で国税庁へ直接送信する「自社送信方式」を採用する場合は、国税庁が定める技術要件を満たし、クライアント証明書の取得など所定の手続きが必要になります。
一方、外部の免税システムを利用する場合は、そのシステム提供会社が承認送信事業者として税務署長の承認を受けているかを確認することが重要です。
どちらの方式を選ぶ場合でも、自社の運用体制や業種に適した免税システムを選定することが求められます。
性能
免税システムの性能は、免税手続きの正確性と効率性に直結する要素であるため、選ぶ際には重視する必要があります。
以下は、免税システムの性能を確かめる際にチェックしたいポイントです。
| チェック項目 | ポイント |
| パスポート読取精度・速度 | ・数字と英字の誤認識を防止できるか(例:0とO) ・読み取り速度が速いか |
| 入国許可シール読み取り可否 | 正確に読み取れるか |
| 操作性(UI・UX) | ・片手または指一本での操作可能か ・直感的で使いやすいか |
| オフライン時の対応 | ネット不通・停電時でも免税処理が継続できるか |
| 不正検知機能 | 不正な免税申請や転売を防止するためのチェック機能があるか |
| POS・決済システムとの連携 | 既存POSレジとの連動やQRコード決済など多様な決済手段に対応しているか |
| 対応言語 | 英語、中国語、韓国語など、多言語対応しているか |
このような性能面の検証は免税手続きの品質保証に不可欠です。
実際のパスポートを用いた試験で読み取り精度や操作性を必ずチェックし、粗悪なシステム導入によるミスやトラブルを未然に防ぎましょう。
セキュリティとデータ保全
免税システムのセキュリティとデータ保全は、個人情報の安全管理や免税販売の信頼性確保に不可欠な要素です。
以下は、免税システムのセキュリティとデータ保全を確かめる際にチェックしたいポイントです。
| チェック項目 | ポイント |
| 個人情報の暗号化保存 | データベースや管理画面内でも暗号化されているか |
| 多要素認証・ログイン管理 | 2段階認証やワンタイムパスコードでなどで、不正アクセス防止に対応しているか |
| データセンターの冗長性 | 停電・ネット断線時も業務継続できるか |
| 通信の暗号化 | SSL/TLSなどの強固なプロトコルで通信を暗号化しているか |
| サポート体制 | 24時間365日対応のサポート体制が整っているか |
これらは、免税業務の信頼性や安全性確保に不可欠です。
システム選定の際には管理画面の確認や運用実績のヒアリングも実施することが推奨されます。
コストパフォーマンス
免税システムの効果的な導入と運用のために、コストパフォーマンスを事前に評価することが重要です。
以下は、免税システムのコストパフォーマンスを判断する際にチェックしたいポイントです。
| チェック項目 | ポイント |
| 初期導入費用 | 専用端末の費用が妥当か |
| 月額利用料 | 追加機能の費用や更新料なども含めて適正か |
| メンテナンス費用 | 定期メンテナンスにどれくらいのコストがかかるか |
| 契約期間・解約条件 | 長期契約の縛り、違約金、データ返却費用などに柔軟性があるか |
| 顧客負担の有無 | 免税手数料が顧客に転嫁されていないか |
これらのポイントをチェックして、店舗のニーズや予算に合った免税システムを選定することが重要です。
導入前には、実機テストや見積もり比較も行いましょう。
独自サービスや強み
免税システム選びの際、基本的な機能やコストだけでなく、独自サービスやプロモーション支援の有無も大きな選定ポイントとなります。
免税販売を効果的に活用するには、訪日観光客への認知拡大が重要です。このため、SNSや旅行サイトを使った情報発信、さらには訪日前のオンライン広告やメールプロモーションなど広範囲に渡るマーケティング支援が必要です。
例えば、「InTaxFree免税リファンドシステム」を提供しているインタセクト・コミュニケーションズ株式会社は、訪日観光客向けのプロモーションサービスも充実しています。
免税制度対応と同時に集客支援を提供できる体制を整えることで、他社との差別化にもつながり、効果的な販促戦略となります。
免税システム導入の流れ

免税システムの導入は、システム選定から始まり、準備、スタッフ教育、運用へと段階を追って進めることが重要です。
ここでは免税システム導入の流れをわかりやすく解説します。
1.システム選定
まずは店舗規模や販売スタイルに合わせ、POS連動型やクラウド型などの免税システムから最適なものを選びます。
特にパスポート読み取り精度や操作性、セキュリティ体制を重点的に確認し、サポートの充実度や法改正対応も視野に入れて比較しましょう。
導入後の運用のしやすさを確認するために、実機テストを行うことも大切です。
2.導入
システム選定後は、ネット環境や端末設置など運用に必要な環境を整えます。
導入完了前にはトラブルシューティングを行い、スムーズな運用開始を目指しましょう。
なお、免税店になっていない場合は、免税店としての許可を所轄の税務署に申請し、許可を取得する必要があります。
【関連記事】免税店になるには?申請手続きや必要書類、開設準備の具体的ステップを紹介
3.マニュアル整備&スタッフ教育
免税システムをスムーズに運用するには、マニュアルづくりとスタッフへの教育が欠かせません。
まずはシステムの基本操作や免税手続きの流れをわかりやすくまとめたマニュアルを作成します。マニュアルにはパスポートの正しい読み取り方法や購入記録の入力手順、トラブル発生時の対応方法を具体的に記載することが重要です。
続いて、スタッフに対して実践的な研修を行い、マニュアル内容の説明だけでなく、実際のシステム操作や顧客対応を体験させます。疑問点や不明点はその都度解消し、理解度を深めることがポイントです。
また、免税制度の法改正やシステム更新があった際には、マニュアルの内容を随時アップデートし、スタッフへの再教育を徹底しましょう。
こうした体制づくりにより、トラブルの未然防止と顧客満足度の向上が期待できます。
4.運用開始
免税システムを使った運用は以下の流れで行います。
購入者が免税を希望するかを確認
免税購入のルールや条件、出国時の注意点などを購入者に説明
パスポートを読み取り、データを取得
免税対象商品をスキャンし、購入記録を作成
パスポート情報と購入記録データを国税庁指定のシステムへ送信
購入者に免税商品を包装して渡す
運用中はシステムの通信状況や売上データをチェックし、トラブルがあれば速やかに対応します。
5.運用中の管理
免税システムの運用中は、以下の定期メンテナンスや管理が必要です。
システムの定期アップデート
購入記録のバックアップと保存状況の確認
通信環境・端末の動作チェック
セキュリティ対策の見直し・強化
スタッフの再教育・研修の継続
トラブル対応マニュアルの更新と共有
これらを計画的に実行し管理することで、免税販売の法令遵守や運用効率、顧客満足度の向上につながります。
6. データ分析と改善
免税システム運用には、データ分析と改善が不可欠です。
導入後の運用中にはPDCAサイクルを回し、計画(Plan)から実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)までを継続的に行うことで、免税販売の効率化と売上向上を図ります。具体的には、販売データや客層の分析に基づき、プロモーションや商品構成の見直し、不正検知対策の強化、接客対応の改善などを行います。
結果の可視化によって問題点を迅速に特定し、柔軟に対応していくことで、変化する市場ニーズに対応可能な運営体制を築くことが可能です。
免税システムの今後と課題

免税システムは、訪日観光客の増加に伴い、免税店が提供するサービスの質を大きく左右する重要な要素となっています。
ここでは免税システムの今後と課題を解説します。
リファンド方式への転換
2026年11月から導入されるリファンド方式において、免税店で買い物をする訪日観光客の中には改正内容を十分に理解していない方もいます。
免税店は顧客からの質問対応に追われる可能性が考えられるため、早めの対策が必要です。
例えば、リファンド方式では、購入者は商品購入時に消費税を支払うため、店頭での支払い金額は従来よりも消費税分だけ高くなります。中には、「販売価格が不当に引き上げられたのではないか」と疑問を持つ顧客も出てくる可能性があります。
トラブルを防ぐためには、新しい制度の変更点を分かりやすく丁寧に説明し、利用者に安心して買い物してもらえる環境を整えることが重要です。
また、リファンド方式導入に伴い、免税店の運用要件もこれまで以上に厳格化されます。
具体的には、購入記録の正確な保存や税関確認情報の管理が義務付けられ、不正防止のための対応強化が求められます。
【関連記事】【令和8年11月】新免税制度(リファンド方式)とは?変更点やシステム対応の注意点を解説
外国人顧客対応のデジタル化加速
今後の免税システムは、訪日外国人顧客の多様化に対応するために、より一層のデジタル化が求められます。
多言語対応をはじめ、パスポート読み取りや本人確認の自動化、QRコード決済連携など、システムによる手続きの効率化が進んでいます。
さらに、POSシステムと連動できる免税システムも増えており、売上や顧客の購買データが自動で連携されることで、来店客の購買傾向を分析しやすくなります。店舗は効果的なプロモーションを展開でき、売上アップも期待できるでしょう。
しかし、これらのデジタル化にはシステム導入コストやスタッフの操作理解などの課題もあります。
加えて、個人情報や決済データを扱うため、セキュリティ強化が必須です。
まとめ
免税店として営業を始めるには、まず法的な許可要件を満たし、手続きを経て免税店として登録されることが不可欠です。
すでに2021年10月から、免税販売手続きの電子化と購入記録情報のオンライン送信が義務化されており、
2026年11月の制度改正では、新たに「課税販売+購入者への還付」というリファンド方式へ移行する予定です。
従来のレジや手作業での管理では対応が難しく、効率的で信頼性の高い免税システムの導入が求められます。制度改正施行までに十分な準備期間を確保するためにも、早めに導入計画を立てておくことが重要です。
「インタセクト・コミュニケーションズ株式会社」が提供する「InTaxFree免税リファンドシステム」は、リファンド方式の新免税制度に完全対応し、購入記録の作成から国税庁への送信、還付処理までワンストップでサポートします。
さらに決済機能と連携して操作もシンプルで、初めて免税対応を行う店舗でも安心して導入できる手厚いサポート体制が整っています。
制度改正による業務の複雑化に対し、免税店の信頼性向上と業務効率化の両面で大きな力となるでしょう。
免税対応や免税システムについては、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※本記事は執筆時点の情報に基づいています。最新の制度改正や詳細については、必ず公式情報をご確認ください。
