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韓国人観光客向けに知っておきたいキャッシュレス決済アプリの基礎知識

訪日韓国人観光客は年々増加傾向にあり、日本のインバウンド市場においても重要な存在です。特に近年、韓国国内でキャッシュレス決済が急速に普及しており、観光客が日本国内でどのように決済するかは、店舗事業者にとっても見逃せないテーマとなっています。
本記事では、韓国で広く利用されているキャッシュレス決済アプリやその特徴、日本国内の事業者が対応する際のポイントを整理します。
韓国の主要キャッシュレス決済手段
韓国では、世界でもトップクラスのキャッシュレス化が進んでおり、クレジットカード決済、モバイル決済、銀行アプリ連携など多様な手段が存在します。特にモバイルアプリによるQRコード・NFC決済は日常的に使われ、現金をほとんど持ち歩かない人も少なくありません。
以下の図は、韓国における主要なキャッシュレス手段を整理したものです。
| 種類 | 特徴 | 具体的なブランド例 |
|---|---|---|
| クレジットカード | 高い普及率。オンライン/オフライン問わず利用可能。※韓国では一人当たりのカード保有枚数が多めと言われています。 | Visa / Mastercard / BCカードなど国内ブランド |
| モバイル決済(QR・NFC) | アプリ経由でのQRコード決済やNFC決済が主流。ポイント・クーポン連携も多い。 | Samsung Wallet(旧Samsung Pay) / Kakao Pay / Naver Pay / Tos / Payco / Shinhan SOL Pay / KB Pay |
| 銀行直結型決済アプリ | 銀行口座と直接紐づき、送金・決済が即時反映されるため利便性が高い。 | Shinhan SOL Pay / KB Pay など銀行系アプリ |
現地に浸透しているキャッシュレス決済アプリ
ここでは、韓国国内で日常的に利用され、訪日観光客が持ち込む可能性の高い代表的アプリを紹介します。事業者が理解しておくことで、対応の優先順位を考える際の参考になります。
Samsung Wallet(旧 Samsung Pay)
Samsung Walletは、Galaxyシリーズを中心に広く利用されるモバイル決済アプリです。以前は「Samsung Pay」として提供されていましたが、現在は決済に加え、会員証・クーポン・搭乗券・デジタルIDなどを統合したウォレット機能へ進化しています。
韓国国内ではNFCとMST(磁気セキュア伝送)の両方式に対応しており、多くの店舗で利用可能です。ユーザー層は若年層から中高年まで幅広く、セキュリティ面ではSamsung独自の「Knox」技術による高い安全性も強みです。
韓国キャッシュレス社会の中核的存在であり、今後も生活基盤型アプリとして拡大が続くと見られています。
※日本国内での利用可否は端末や加盟店によって制限がある場合があります。
Kakao Pay(カカオペイ)
出典:Kakao Pay公式
KakaoTalk(韓国の国民的メッセンジャーアプリ)を母体とした決済サービスで、月間アクティブユーザー数は平均2,310万人(2024年時点)と国内最大級です。友人同士の送金やオンライン決済、オフラインのQRコード決済まで幅広く対応しています。
特に、KakaoTalk内でシームレスに送金・決済できる利便性から、日常生活に深く根付いており、若年層から中年層まで幅広いユーザー層を獲得しています。
Naver Pay(ネイバーペイ)
出典:Naver Pay公式
韓国最大の検索ポータル「Naver」が運営する決済サービスで、オンラインショッピング分野に強みを持っています。ユーザー数は約210万人となっており、Naverショッピングモールや提携ECサイトでの利用が非常に多く、オンライン購入の決済手段として圧倒的な存在感を持ちます。
近年はQRコードを活用したオフライン決済にも対応を拡大しており、訪日観光客が日本国内での買い物に利用する可能性も高まっています。
Toss(토스)
出典:Toss公式
モバイルファイナンス企業Viva Republicaが運営するアプリで、利用者数は2,000万人超。個人間送金の利便性で急速に支持を広げた後、保険・投資・融資など総合金融サービスに発展しました。
特に、ユーザーインターフェースのシンプルさや金融スーパーアプリ的機能により、20〜30代を中心に高い人気があります。QRコード決済機能も備えており、韓国国内では「次世代決済アプリ」として注目されています。
Payco(페이코)
出典:Payco公式
NHNが運営する決済アプリで、オンライン・オフライン双方で利用可能です。会員数は1,000万人以上とされ、コンビニやカフェチェーンなど若年層の日常利用シーンで多く使われています。
また、ポイントサービスとの連携が強みで、ショッピングや飲食の際に「決済+ポイント還元」を重視する層から支持されています。
Shinhan SOL Pay(新韓SOLペイ)
大手銀行・新韓銀行が展開するアプリで、銀行口座と直結したQRコード・バーコード決済が可能です。銀行系アプリの強みとして、口座残高の即時利用や信頼性があり、主に銀行顧客に利用されています。
KB Pay
出典:KB card公式
国民銀行(KB国民銀行)が提供する決済アプリで、こちらも銀行口座直結型です。銀行サービスと一体化しており、主に既存の銀行顧客を中心に浸透しています。
韓国人観光客向け決済対応のチェックポイント(店舗事業者向け)
対応決済手段の把握と利用率を踏まえた優先順位付け
訪日韓国人観光客が日常的に利用するキャッシュレス決済アプリは多岐にわたります。しかし、日本国内でそのまま使えるアプリは限られており、事業者にとっては「どのアプリを優先的に導入するか」が重要な判断ポイントになります。
訪日韓国人観光客のキャッシュレス決済に備えるため、対応決済手段を把握し、利用率を踏まえて優先順位を付けることが重要です。一般的な傾向として、Kakao PayとNaver Payは、韓国国内で広く利用されており、観光客が日本でも使えるよう整備されれば、売上機会の拡大につながる可能性が高いと言えます。両ブランドに対応することで、多くの韓国人観光客をカバーでき、利便性向上による顧客満足度の向上も期待できます。
端末・POS連携のテスト
一部の端末では決済は可能でも、POS連携ができず売上計上に手間がかかる場合があるため、韓国アプリのQRコードやバーコードが、日本のPOS端末や決済システムで正しく処理できるかを事前に確認することが重要です。
通貨換算や手数料の確認
契約する決済代行会社を通じ、韓国系アプリの支払いが円建てで正しく処理されるか確認。手数料や入金スケジュールも事前に把握しておくことで、運用上のトラブルを防げます。
スタッフ教育・顧客対応の準備
スタッフが利用手順やアプリの特性を理解し、韓国人観光客にスムーズに案内できる体制を整備。質問や操作トラブルに対応できるだけで、顧客満足度や購買意欲の向上につながります。
まとめ
韓国ではSamsung WalletやKakao Pay、Naver Pay、Toss、Paycoなど多様なキャッシュレス決済アプリが浸透しており、訪日観光客も日常的にこれらを利用しています。
また、Kakao Pay(カカオペイ)やNaver Pay(ネイバーペイ)などはAlipay+を通じて導入が可能となり、日本国内の事業者にとっては韓国人観光客の利便性を高めることが集客や売上向上につながります。
関連記事:Alipay+とは?訪日観光客に対する便利な決済機能と店舗での導入メリットを解説
「IntaPay(インタペイ)」のようなマルチ決済サービスを導入することで、主要QRコード決済アプリへの一括対応が可能となり、効率的にインバウンド需要を取り込むことが可能となります。
訪日観光客の集約や実店舗でのオペレーションに課題がある方は、ぜひお気軽にお悩みをご相談ください。
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※本記事は執筆時点の情報に基づいています。最新の制度改正や詳細については公式情報をご確認ください。
