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2025年版:インボイス制度対応とQRコード決済で実現する店舗の業務効率化

インボイス制度の導入により、事業者は適格請求書の発行や保存など、新たな業務負担が発生しています。
その一方で、QRコード決済は取引データの自動記録や、POS・会計ソフトとの連携により、インボイス管理を効率化できる手段として注目されています。しかし「制度の仕組みが複雑でわかりにくい」「QRコード決済との関係がイメージしづらい」と感じる方も少なくありません。
本記事では、2025年最新版のインボイス制度のポイントと、QRコード決済を活用した実務対応について詳しく解説します。
インボイス制度とは

インボイス制度は、2023年10月に導入された新しい消費税の仕入税額控除の方式で、取引における「適格請求書の発行」と「その保存」が控除の要件となりました。
特に、中小企業にとっては、請求書様式の変更や仕入税額控除の条件が厳格化されたことで、取引管理や税務処理に大きな影響を及ぼしています。
ここでは、インボイス制度や適格請求書の書き方、運用実績、中小事業者への影響を解説します。
インボイス制度の概要
インボイス制度では、売り手は「適格請求書発行事業者」として登録する必要があります。
取引ごとに消費税額や登録番号を記載した「適格請求書(インボイス)」を発行しなければなりません。
買い手はこの適格請求書を保存することで、はじめて仕入税額控除を受けることができます。
一方、制度に対応していない免税事業者は適格請求書(インボイス)を発行できないため、その事業者からの仕入れについては控除が段階的に縮小され、最終的には認められなくなります。
適格請求書(インボイス)の書き方
適格請求書には法令上の決まったフォーマットはありませんが、以下の6項目を必ず含める必要があります。
適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
取引年月日
取引内容(軽減税率対象品目の場合はその旨を明記)
税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率
税率ごとに区分した消費税額等(端数処理は切り捨てまたは切り上げ可)
書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
標準税率(10%)と軽減税率(8%)が混在する場合は、それぞれの税率ごとに明確に区分して記載します。
軽減税率対象品目がある場合は、その旨の表記を忘れずに行うことが重要です。
(出典:国税庁「適格請求書の記載事項」)
インボイス制度の運用実績
インボイス制度の導入から現在までの改定・運用実績、また将来の予定を以下にまとめています。
| 年度 | 主な改正 |
| 2023年10月 | ・インボイス制度正式導入 ・適格請求書発行事業者の登録開始 ・仕入税額控除の適用条件が変更 ・小規模事業者向け「2割特例」適用開始 |
| 2024年1月 | 電子帳簿保存法改正により、電子取引データの紙保存廃止・電子保存義務化 |
| 2026年10月 | 免税事業者からの仕入れに対する仕入税額控除が80%→50%へ縮小予定 |
| 2029年10月 | 免税事業者からの仕入れに対する仕入税額控除原則廃止 |
出典元:国税庁「経過措置」、「電子帳簿保存法の内容が改正されました」、「インボイスについて」
インボイス制度が導入され、現在は登録事業者の管理や適格請求書の記載要件の厳格化など、運用上の課題が依然として残っています。
特に取引先が適格請求書発行事業者かの確認や、免税事業者との取引における仕入税額控除の適用判断が複雑化し、多くの事業者で事務負担が増えているのが現状です。
インボイス制度がもたらす中小事業者への影響
インボイス制度は、中小事業者や個人店舗にとって次のような影響を及ぼしています。
税負担の増加:インボイス発行により消費税の納付義務が発生
経理負担の増加:帳票やシステム対応が必須となり、日常業務が煩雑化
取引の縮小:インボイス未登録の免税事業者との取引が敬遠される傾向
こうした負担がある一方で、インボイス対応を進めることで取引先からの信頼確保や経理の透明性向上といったメリットも得られます。
インボイス制度対応と店舗が抱える課題

インボイス制度対応にあたって、店舗ではさまざまな課題が生じています。
ここでは、インボイス制度で店舗が直面している課題を詳しく解説します。
適格請求書の発行・保存の負担
インボイス制度対応の大きな課題の一つは、適格請求書の発行・保存に関する負担です。
適格請求書発行事業者には、交付した適格請求書の写しや電磁的記録を保存する義務があります。この適格請求書の写しや電磁的記録については、交付(または提供)した日の属する課税期間の末日の翌日から2ヶ月を経過した日から7年間保存(※)しなければなりません。
さらに、電子帳簿保存法の要件を満たしたシステムによる保存が必要となり、システム導入や運用の負担など
慣れない業務が増えることで経理担当者には大きな負荷がかかっています。
(※)参考:国税庁「適格請求書等の写しの保存」
管理コストの上昇
特に現金取引が中心の店舗では、管理コストが大幅に増加しています。
これは、適格請求書の発行・保存が義務付けられ、現金取引が多い店舗は取引ごとに請求書整理や帳簿管理の手間が大きくなるためです。さらに軽減税率対応や複数税率の区分管理も必要で、会計処理が複雑化しています。
これらの業務増加に対応するため、インボイス対応レジや会計ソフトの導入費用・運用コストも発生し、経営を圧迫する要因となっています。
ミスや漏れによる仕入税額控除不可のリスク
インボイス制度では、請求書に誤りや漏れがあると仕入税額控除が認められないリスクがあります。
控除不可の原因となりやすいのは以下のようなケースです。
請求書発行者の登録番号の不備
品目・金額・税率などの記載漏れ
日付の誤りや未記載
請求書の保存漏れ
これらの不備があると控除の要件を満たせず、結果として納税額が増える恐れがあるため注意が必要です。
これらのリスクを防ぐためには以下のような取り組みが効果的です。
発行側・受領側の双方で請求書内容を確認する体制を整える
ITシステムを活用し、請求書発行・保存の自動化やチェック機能を導入する
従業員に対して定期的な教育や研修を実施する
社内マニュアルを整備し、処理プロセスを標準化する
このような仕組みを導入することで、インボイス制度に起因する控除不可リスクを最小限に抑えることが可能です。
QRコード決済によるインボイス制度対策

インボイス制度への対応策として、QRコード決済の活用が注目されています。ここでは、QRコード決済がどのように課題解決に役立つのかを解説します。
帳簿・請求書管理への活用
インボイス制度に対応する上で、QRコード決済の取引データは経理業務を効率化する有効な手段の一つです。
決済データをPOSや会計ソフトと連携させることで、売上や決済情報をリアルタイムに一元管理でき、適格請求書の作成時の確認資料として活用できます。
一部のサービスでは、取引データをもとに電子領収書を作成できる機能を提供しており、将来的にはインボイス制度対応の補助として活用できる可能性があります。
紙ベースの管理に比べて、データ確認や集計作業の効率化につながるため、店舗の経理負担軽減に貢献します。
POS・会計ソフトとの連携
QRコード決済の利用履歴は自動的にデジタル化され、多くのサービスでPOSや会計ソフトと連携できます。これにより手動入力の手間を省き、入力ミスを減らしながら売上や決済情報をリアルタイムで反映させることが可能です。
たとえば、PayPayなど一部の決済サービスでは、専用アプリやデータ出力機能を通じて会計ソフトと連携でき、日々の取引記録を自動で整理可能です。この仕組みにより、経理担当者の作業負担を大幅に軽減できます。
売上管理と控除記録への応用
QRコード決済データはリアルタイムで取得され、売上管理に即時反映できます。
日々の売上や入金状況を迅速かつ正確に把握できるため、帳簿作成や経理処理の効率化につながります。
また、決済データには伝票番号・決済日時・支払方法などの詳細が記録されるため、後日の照合や監査対応をスムーズに行う際の補助資料としても有効です。
このように、QRコード決済のデータは適格請求書の保存や確認を補完する役割を担い、記録漏れや入力ミスによるリスクを軽減する役割を果たします。
QRコード決済導入のメリット

QRコード決済の導入は、インボイス制度対応を後押しするだけでなく、セキュリティ強化やキャッシュレス推進といった幅広いメリットをもたらします。ここでは、具体的な利点を整理します。
事務効率化
キャッシュレス化によって、現金の受け渡しや釣り銭管理の手間がなくなり、レジ締めや売上管理にかかる時間を大幅に短縮できます。
決済情報は自動的にデジタル化されるため、手入力や集計のミスが減少し、経理や税務処理がスムーズになります。さらに、売上や取引履歴をリアルタイムで把握できるため、資金繰りの可視化が進み、迅速かつ正確な経営判断につながります。
適格請求書管理の負担軽減
QRコード決済を導入することで、適格請求書の発行・保存に伴う業務負担が大幅に軽減されます。
取引データがリアルタイムでデジタル化されるため、請求書作成や保存がシステム上で完結し、紛失や記載ミスのリスクを抑えられます。
さらに、電子データの形で保存することで検索や再発行も容易になり、税務調査への対応もスムーズに行えます。
セキュリティの強化
QRコード決済を導入することで、現金管理に伴う盗難や偽造といったリスクを低減できます。
現金を扱わないことで、現金を扱わないことで従業員トラブルや管理コストも削減され、安心して業務に集中できる環境が整います。さらに、キャッシュレスは顧客の利便性を高め、支払いがスムーズになることで集客効果も期待できるでしょう。
QRコード決済は単なる決済手段にとどまらず、インボイス制度対策や、安心・安全な店舗運営および顧客体験向上の両面で不可欠な存在となっています。
QRコード決済導入の注意点

QRコード決済導入においては、取引データの正確性と信頼性を維持し、システム環境と運用体制の整備が必要になります。
ここでは、具体的な注意点について解説します。
取引データの信頼性確保
QRコード決済における取引データは、改ざんやすり替えを防ぎ、透明性を確保することが求められます。
そのためには、以下の対策が効果的です。
| 対策 | 具体例 |
| 最新のセキュリティ技術の導入 | ・データの暗号化 ・トークナイゼーション ・SSL/TLSによる通信保護 |
| 定期的な監査とモニタリング | ・決済履歴の監査ログ保存 ・異常な取引の早期検知 ・不正アクセスの監視 |
| 透明性のあるデータ管理 | ・顧客と店舗双方が確認できる取引記録 ・インボイス制度対応フォーマットでの管理 ・権限管理によるアクセス制御 |
取引データの信頼性を高めることで、顧客と事業者の双方からの信頼が高まり、インボイス制度をはじめとした法令遵守にもつながります。
システム環境と運用体制の整備
QRコード決済の導入にあたっては、安定したシステム環境の構築が欠かせません。
特に通信環境や端末管理に不備があると、決済遅延やエラーが発生し、顧客満足度の低下につながる可能性があります。
安定した運用のために必要な整備のポイントを以下の表にまとめています。
| 整備のポイント | 具体例 |
| 運用体制の改善 | ・Wi-Fiやモバイル回線の安定化 ・通信障害時のバックアップ回線の準備 |
| 端末・機器の管理 | ・専用端末や決済機器の定期点検と管理 |
| スタッフ研修と対応マニュアルの整備 | ・決済システムの基本操作トレーニング ・トラブル発生時の段階的な対応マニュアル作成 ・サポート窓口や連絡先の明示 |
このように、ハード面とソフト面の両方で充実した環境と体制を構築することで、QRコード決済を安心して活用できるようになり、インボイス制度にも対応しやすくなります。
まとめ
インボイス制度は、すでに多くの事業者に大きな影響を及ぼしており、今後は経理業務や請求書管理の重要性がさらに高まっていきます。
そのなかでQRコード決済を導入すれば、適格請求書の発行・保存や仕入税額控除対応を効率化でき、リスクを抑えつつ事務負担を軽減できます。
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インボイス制度対応の負担を軽くし、日々の業務効率化を進めるうえで、IntaPayは有力な選択肢となるでしょう。
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※本記事は執筆時点の情報に基づいています。最新の制度改正や詳細については、必ず公式情報をご確認ください。
